空気の圧力【大気圧】。気がつかない大きな力

大気圧 中1理科

人間にとって大切なものだけど、普段は見ることも感じることもできないもの……。


それは空気です。

空気には気づかない

しかし、ニュートンが重力の存在を証明したように、見えない力に気づくのが理科(物理)の面白いところ。


今回は、目に見えないし、感じることも少ない「空気」について詳しく学びましょう。

地球は【大気】に覆われている

人間は他の惑星では呼吸ができずに生きていけませんが、地球では自由に生きていけます。


なぜなら、地球には酸素や二酸化炭素など、空気があるからです。

地球を覆う大気
地球を覆っている空気(イメージ)

宇宙から地球を見ると、地球をとりまく空気がよく見えるようです。

上空から見た地球の空気の層と雲
地球と大気の衛星映像

空気は地球に覆いかぶさっていて、地球は空気で満ちあふれているのです。


これら、地球を覆いかぶさる空気の層を、大気(たいき)と呼びます。

大気とは、要するに空気のことです。

しかし身の回りのレベルではなく、惑星など大きなレベルで考えるときは大気と呼びます。

大気も地球に引き寄せられている

空気もほかの物体と同じように、地球の重力から逃れることはできません。


なので人間や他の物質と同じように、大気も地球に引きつけられています。


もし大気に重力がかかっていなかったら、大気は宇宙に逃げていってしまうでしょう。もちろんそうなったら人間は生きていけません。

重力に引きつけられる大気
地球の重力は大気にもかかっているので、大気は地球から離れない

空気の重さからくる【大気圧】

大気にも重力がかかっている……ということは、空気にも重さがあるということ。

大気圧の図
私たちは常に、空気を背負っている?

この空気の重さからくる圧力を、大気圧 (もしくは気圧)といいます。


水の重さからくる圧力は水圧といいましたが、空気でも同じ原理がはたらいているのです。

私たちが住んでいる地上は、空気の海のようなものです。


普通の海には水圧があるように、空気の海には大気圧があるのも当然です。私たちは常に、空気の海を泳いでいることを忘れないでください。

大気圧
常に大気圧を受けている

高度が低い場所ほどたくさんの空気がのしかかるので、大気圧は大きくなります

気圧の高い所、低い所
山など高い所に登るほど、気圧は低くなる

大気圧と水圧はよく似ています。

まず、どちらも上から下だけでなく、四方八方あらゆる方向へかかります。


そして、下にいくほど圧力は強くなっていきます。

水圧と大気圧
水圧も大気圧も、①あらゆる方向から、②下のほうが強く はたらく

大気圧に押しつぶされる物体

大気圧も圧力なので、大気圧の大きさを表すためにはパスカルの単位を使います。

例えば海面と同じ高さでは、大気圧は 1013 hPa(ヘクトパスカル) です。

(100Pa は、1hPa です。つまり 1013hPa は 101300Pa です)

1013hPa
海面と同じ高さでは、常に1013hPaの大気圧がのしかかる

海面にかかる 1013 hPa は一つの基準として扱われるので、1013 hPa を 1気圧 と呼ぶこともあります。

私たちも毎日、常に約1気圧の大気圧を受けています。

1m² に 約10トンの物体がのしかかる圧力

1気圧(1013 hPa)はとても大きな圧力です。


1hPa は 100Pa なので、 1013hPa は 101300Pa です。


Pa は、N/m² なので、101300Pa(1013hPa) は、 1m² に 101300N がのしかかるくらいの圧力!

1気圧の大きさ
私たちは常に、大きな大気圧を受けている

今もあなたは、1m² に約101300N (1万kg, 10トン)の空気の重みを受けています。


手のひらが 100cm² だとすると、そこには約100kg の空気が乗っています!

手のひらに乗る100kgの空気

人間がつぶれないのは、空気で押し返しているから

あなたが今も、1m² に約10トンの重さを背負っていたり、手のひらに100kgの空気が乗っているなんて信じられないかもしれません。しかし、それは本当なのです。


しかし、そんなに大きな圧力があるのに、なぜあなたはつぶれて死なないのでしょうか?

体には1気圧がかかっている
体にかかる1気圧

その理由は、「体の内側からも同じ圧力で押し返し、圧力を打ち消し合っているから」です。

人間が大気圧に潰されない理由
内蔵など体の器官すべてから、同じ1気圧で押し返している

人間や動物の体は、鼻や口、内蔵などに空気や液体が満ちあふれているため、外の空気と同じ圧力を持っています。


そのため大気圧がかかっても、内側から同じ力で押し返すことができています。


空のペットボトルがつぶれない理由も同じ。

ペットボトルが大気圧につぶされない理由
内部の空気が、同じ力で大気圧を押し返している

ペットボトル内部にも空気があるから、外の空気からの圧力と、同じ力で押し返しせるわけです。


手のひらを差し出しても100kgの重さを感じないのは、下や横からも大気圧がかかり、打ち消してくれているから。

手のひらに大気圧を感じない理由

大気圧の強さがペットボトルや空き缶をつぶす

なので、ペットボトル内の空気を抜いてやると、もはや大気圧を押し返すことができないため、グシャリと簡単につぶれてしまいます。

(手で直接つぶさなくても、大気圧で勝手につぶれる)

大気圧につぶされたペットボトル
ペットボトル内の空気が抜けると、大気圧を押し返すことができない

大気圧の強さを実感できる、水蒸気を使う面白い実験があります。


空き缶に少し水を入れ、熱して沸騰させたらフタで密閉します。

大気圧を利用した実験

缶の中の水は蒸発して、缶の中には水蒸気が発生しています。


密閉した缶を氷水に入れて冷やすと、空き缶はペシャリとつぶれてしまいます。

大気圧でつぶれた空き缶
冷やすとつぶれる空き缶

空き缶がつぶれる理由

はじめ、空き缶には空気が入っているので、外の大気圧を同じ力で押し返しています。

大気圧を押し返す空き缶

しかし水を沸騰させると水蒸気が発生し、中の空気が追い出されてしまいます。

空き缶の中の水蒸気
空気が追い出され、空き缶の中はほとんどが水蒸気に

空気は逃げてしまったので、空き缶の中に空気はあまり入っていません。


この場合は空気でなく、水蒸気により外側の大気圧を押し返しています。ここで密閉すると、水蒸気に満たされた空き缶ができることになります。

水蒸気が大気圧を押し返す

この状態で空き缶を冷やすと……温度が下がり、缶の中の水蒸気が水に戻ってしまいます


その結果、空き缶の中の空気や水蒸気がなくなり(体積が減少し)、気圧が下がります


空き缶の中に「空気も水蒸気もない、空っぽの空間」ができてしまうわけです。

空き缶の中の気圧が外に比べて低くなってしまえば、もう外からの気圧に押し返すことができません。その結果、空き缶はペシャリとつぶれます。

大気圧でつぶれる空き缶
もはや大気圧を押し返す力はない

同じ実験をすると、ドラム缶でさえ一気につぶれます。大気圧の力は強い。

大気圧でつぶれるドラム缶
http://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005301545_00000

ふくらむポテトチップスの袋

コンビニで買ったポテトチップスを山の上に持っていくと、袋がパンパンに膨れ上がってしまいます。

気圧の関係で膨らんだポテトチップスの袋

これは、山の上や飛行機の中では、地上に比べて大気圧が低くなるため。

膨らむポテトチップス

最初、工場で作られたポテトチップスには工場内の空気が入っており、外の大気圧を押し返しています。

ポテトチップスには工場内の空気が入っている

しかし、それを山の上や飛行機など気圧の低いところに持ってくると、周りからポテトチップスを押す力が小さくなります。

ポテトチップスと気圧の関係
袋の中の気圧は同じ。外からの気圧だけ低くなる

外からの気圧より、内側からの気圧のほうが大きくなるので、ポテトチップスの袋は膨らんでしまいます。

ポテトチップスの袋が膨らむ理由

便利な吸盤つきフック

吸盤つきフックの大気圧の利用

便利な吸盤付きフックも、大気圧を利用した商品です。


吸盤が壁にひっつくとき、内部の空気が十分に抜けています。

吸盤内の気圧は低い

そのため、内部の気圧は外に比べて低い状態です。


外の気圧に負けてしまい、吸盤は壁におしつけられることになります。

大気圧におしつけられる吸盤

大気圧の力により、吸盤はなかなか壁から外れることはありません。

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