二酸化炭素の発見!ブラックが解き明かした「固定空気」の謎

二酸化炭素 中1理科

空気は人間にとって不可欠なものですが、「空気がどんな気体からできているのか?」が発見されたのはほんの300年前にすぎません。

気体発見の歴史

それまで何千年にわたって人類は、空気は空気であり、まさか「二酸化炭素」や「酸素」などからできていることは考えもしませんでした。

空気にまつわる気体の研究は、二酸化炭素の発見から急激に発達しはじめます。


上の表を見ると、二酸化炭素が発見されてからわずか20年のうちに、酸素や窒素、水素など主要な気体が発見されていることが分かります。

それまで何千年も謎のままであった「空気」のことが、一気に判明するようになったわけです。

二酸化炭素と石灰石

実験の末に二酸化炭素を発見した人物は、イギリス(スコットランド)のジョセフ・ブラックです。

二酸化炭素の発見者ジョセフ・ブラック
ブラックは、医者であり化学者でもあった

彼が二酸化炭素を発見できた理由の一つが、石灰石という石の存在です。

石灰石

はるか昔から、建築や塗料などとして、石灰石は世界中で活用されていました。


現代でも、建築を中心によく石灰石が利用されているのを目にします。漆喰(しっくい)や大理石は、石灰石を利用したものです。

漆喰や大理石として利用される石灰石
左は姫路城で、漆喰を塗って白くなっている。右は大理石を使った建築

道路のコンクリートセメントなども、石灰石を利用しています。黒板で使うチョークも石灰石。

石灰石は、貝殻などがサンゴ礁とともに、海底に長い年代積もることでできた物質です。

石灰石のもとになっているサンゴ礁

貝殻やサンゴなどに含まれるカルシウム成分が、石灰石のもとになっています。


身近なものでは、卵の殻なんかも、石灰石と同じ成分でできています。

二酸化炭素が発見されたのは、1754年のイギリスです。


その頃のイギリスでも、もちろん石灰石はさかんに利用されていました。

石灰石を焼いたり、塩酸をかけると不思議な現象が

化学者のブラックは、石灰石を熱すると、なぜか石灰石が軽くなることに疑問を感じます。

石灰石を燃やすと軽くなる
石灰石を熱すると、生石灰(せいせっかい、きせっかい)という物質になり、軽くなる

燃えたら軽くなるということは、石灰石の一部が消えてなくなったのでしょうか?


石灰石に塩酸という液体をかけてみても、同じく石灰石が小さくなり、軽くなってしまうことも知られていました。

石灰石に塩酸をかけると軽くなる

塩酸はさまざまな金属を溶かす、危険ですが不思議な液体としてよく知られていました。

金(ゴールド)を作り出すための錬金術としても大切な液体だったので、当時の学者はよく使っていたのです。

なぜ石灰石は軽くなるのか?ずっとずっと、誰も答えを見つけることはできていませんでした。

軽くなったのは、石灰石から空気が抜けたから?

ブラックはこう考えました。


「石灰石を燃やしたり塩酸をかけたりすると、石灰石の一部が見えない空気になって出ていってしまうのでは?だから燃やした後に軽くなってしまうのだ!」

二酸化炭素を発見するブラック
熱したり塩酸をかけると、石灰石の中の空気が外に出るから軽くなるのでは?

二酸化炭素を集めたブラック

ブラックは、


「石灰石から出るこの空気は、普通の空気と同じものなのか?それとも、まだ人類の知らない特別な気体なのだろうか?」


という疑問を持ち、ぜひそれを調べたいと考えました。


そのためには、石灰石から抜け出した空気を集めなければなりません


しかし気体は透明で、見ることも触れることもできません。どうやって集めればいいのでしょうか?

気体の収集方法

ブラックは、当時科学者の間でも知られていた、水上置換法(すいじょうちかんほう)と呼ばれる方法を使いました。

二酸化炭素を集める水上置換法

水を満たした瓶を逆さにしておき、フラスコの中で、塩酸の中に石灰石を入れてみます。
ブラックの考えが正しいなら、石灰石が軽くなり気体が発生するはずです。


その気体を、チューブで水中の瓶まで送ります。


気体は水よりも密度が小さいので上に浮かびます。そのため、瓶の上部に気体が溜まるはずです

もともとの瓶には水が満たされていて、他の空気は入っていません。


したがってこのように気体を集めれば、空気の混ざっていない純粋な気体を集めることができるのです。


ブラックはこの方法を使って、石灰石から出る空気を収集することに成功しました。

水上置換法は、二酸化炭素などの気体を集めるのにとても便利な方法です。


しかし、水に溶けやすい気体には適していない方法です。なぜなら、水中で気体が溶けてなくなってしまうからです。

水に溶けやすい気体は水上置換法に向かない

二酸化炭素は、水に少ししか溶けません。したがって水上置換法を使って問題ありません。

二酸化炭素の発見

ブラックは集めた気体でたくさんの実験をしました。


彼が発見したその空気の中では、

  • 火が燃え続けられない
  • その空気に閉じ込めた動物が死んでしまう

といった、明らかに普通の空気とは違う性質がありました。

二酸化炭素

ブラックはこの結果から、


「石灰石から抜け出た空気は、普通の空気とは違う特別な空気だ!!」


ということを発見しました。


これが、人類が初めて二酸化炭素を発見した瞬間です。

二酸化炭素の発見
人類が初めて二酸化炭素を発見した瞬間

ブラックは当時、「この空気は普段は、石灰石の中に固定されているのだ」と考えたので、この気体を固定空気 (fixed air) と名付けました。


その固定空気は、今ではもちろん「二酸化炭素」として知られているわけです。

二酸化炭素の性質

さて、ブラックが1754年に発見した二酸化炭素(当時は固定空気)ですが、後からいろいろなことが分かってきます。

固定空気(二酸化炭素)は空気中に含まれている!

石灰水という水があります。当時のイギリスでも、石灰水は医療や衣服の漂白にも利用される、馴染みのある液体でした。


その石灰水は、外に放置したり、息を吹きかけるとなぜか白く濁ることが知られていました。

二酸化炭素により、石灰水が白く濁る
石灰水が白く濁るのは当時から不思議な現象であった

そしてそれに加えて、石灰石から取り出した固定空気(二酸化炭素) を入れた瓶に石灰水を注ぐと、これもまたすぐに白く濁ることがかりました。

石灰水を濁らせる二酸化炭素

この結果からブラックは、

  • 二酸化炭素は、石灰水白く濁らせる
  • 空気にも、動物の息にも二酸化炭素が含まれている

ことを突きとめました。


ブラックが石灰石から発見した「固定空気」は、特別な気体ではなく、人間の息にも、空気中にも存在する身近なものだったわけです。

実際のところ、二酸化炭素は空気中に 約0.04% だけ含まれています。

空気中の二酸化炭素濃度

二酸化炭素は、空気よりも密度が大きい

また、二酸化炭素は空気よりも密度が大きいことが発見されます。


同じだけの量の空気と二酸化炭素を瓶に入れると、二酸化炭素の方が重いわけです。

例えばビールの製造では発酵により、大量の二酸化炭素が発生します。

ビールなどの炭酸は、二酸化炭素が溶けている証拠です(二酸化炭素は、水に少しだけ溶ける)。


このように大量に二酸化炭素が発生すると、空気よりも重いため下に溜まることになります。

下に溜まる二酸化炭素

ちなみに、ビールやコーラなどを含む、二酸化炭素の水溶液は、酸性を示します。

炭酸水(二酸化炭素の水溶液)は、酸性を示す。
酸性は、青色リトマス紙を赤色に変える

「二酸化炭素は空気よりも密度が大きい(重い)」という性質を考えて、二酸化炭素を瓶の下に溜めて集める方法があります。


これを、下方置換法(かほうちかんほう)といいます。

下方置換法

二酸化炭素のように、空気より重い気体は下方置換法を使ってもOKです。

しかし、これでは明らかに他の空気と混ざりやすいので、水上置換法を使う方が純度の高い気体を集めることができます

実は、水上(水銀上?)置換法で二酸化炭素を集めたのはブラックでなく、水素を発見したキャベンディッシュという学者であったと言われています。


さらに、実は二酸化炭素の密度を測ったのもブラックではなく、キャベンディッシュです。


しかしストーリーが分かりやすいように、「ブラックも水上置換法を使っていた」として説明することにしました。

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