【カメラの仕組み】凸レンズを操り、実像のピントを合わせよう!

凸レンズと実像、カメラの仕組み 中1理科

凸レンズは、光が集中するポイント、焦点を作り出す便利な道具です。

凸レンズ
左右にある焦点

光が一点に集まると大きな熱が発生するので、凸レンズの「焦点を作り出す」性質を利用すれば、火を起こすことが可能です。

凸レンズの左右にある焦点
凸レンズで火をおこす写真
https://www.wildernessarena.com/food-water-shelter/firecraft/lighting-a-fire

しかし、凸レンズの使いみちは「火を起こすこと」だけではありません。


実は凸レンズ、カメラにも欠かせない重要な道具なのです。


今回の授業では、凸レンズを活用した📷カメラの仕組みについて深堀りします!

📷カメラは凸レンズを利用している

身近な例では、カメラも凸レンズの仕組みを活用した機械です。カメラのレンズは、まさに凸レンズが使われています。

凸レンズを利用するカメラ
凸レンズ
凸レンズ
https://www.monotaro.com/g/02581831/

カメラは、凸レンズの性質をどのように利用して、綺麗な写真を撮っているのでしょうか?

リンゴ

📷凸レンズとカメラの関係

実はカメラは、凸レンズの焦点を持つ性質を応用しています。


例えば立てた凸レンズの目の前、光軸の上にリンゴを置くとします。

凸レンズとリンゴ
焦点は英語でFocusなので、2つの焦点を F と F’ で表した

リンゴから乱反射する光は、凸レンズにどのように入射するでしょうか?

リンゴで乱反射する光
ひとまず、葉っぱの先だけ考える

凸レンズに平行に入射する光は、必ず焦点に集まりました。

凸レンズと焦点

しかし、平行に入射するのは、太陽光など、はるか遠くの物体からの光だけ。


凸レンズの近くに置いたリンゴで乱反射した光は、四方八方に光が飛びます。決して凸レンズに平行に入射するわけではありません。

太陽光と物体からの光の違い

太陽光も、最初は放射状に光を発しています。決して平行ではありません。


しかし、地球はとても遠いので、地球に届く頃にはほぼ平行になっています。

太陽光が平行に入射する理由

以下より、分かりやすい光線の道すじだけ考えていきましょう!

🛤光軸と平行に進む光

最初に、光軸と平行に入る光を考えます。

光軸と平行に進む光

光軸に平行な光線は、全て焦点に集まりますよね。

凸レンズに光が入射する
https://www.shokabo.co.jp/sp_e/optical/labo/lens/lens.htm

だから葉っぱ部分で反射して光軸に平行に進む光は、凸レンズで屈折して焦点に向かいます。

光軸に平行に入った光の道筋

凸レンズでの屈折は、

  • 空気➡️凸レンズ
  • 凸レンズ➡️空気

のときで合計2回屈折します。


しかし作図するときは、面倒なので普通は

  • 凸レンズの中心で一回だけ屈折する

ように描きます。

凸レンズ屈折の作図

🎯凸レンズの中心を通る光

次は、凸レンズの中心を通る光を考えてみましょう。

凸レンズの中心を進む光

これも、

  • 空気➡️凸レンズ
  • 凸レンズ➡️空気

で2回屈折します。

凸レンズの中心で屈折する光
2本の赤線は平行

しかしこの場合、ほとんど直線だとみなすことができます。したがって、「凸レンズの中心を通る光は、直進する」と考えて問題ありません。

実際の屈折と作図
凸レンズの中心を通る光

🎥物体の手前の焦点を通り、凸レンズに入る光

あともう一つ、分かりやすい光を考えます。


リンゴの葉っぱから、手前の焦点を通る光

手前の焦点を通る光

リンゴから手前の焦点を通る光は、屈折して光軸に平行に進みます

手前の焦点を通る光

なぜでしょう?


ここで、👇のGIF画像を見て思い出してください。

凸レンズと屈折

光軸と平行に入射した光は、必ず焦点を通ります。それが凸レンズの性質。


ということは、焦点を通って凸レンズに入射した光は、必ず光軸と平行に進むことになります。光の逆進性

手前の焦点を通る光の屈折
光の逆進性を考えると、手前の焦点を通る光は、光軸に平行に屈折することが分かる

📷カメラは、像点を利用した機械

カメラの仕組みを理解するためには、凸レンズに進む光を3本把握しておけば十分です。

凸レンズを通る光
  • 光軸と平行に入射する光は、凸レンズで屈折して反対側の焦点を通る
  • ②凸レンズの中心を通る光は、そのまま直進する
  • ③物体の手前の焦点を通る光は、凸レンズで屈折して光軸と平行に進む

👆の3つの光線をキッチリ把握すれば、凸レンズに関してはバッチリです。


本当は、以下のように無数の光が凸レンズを通り、一点に集まっています。

凸レンズと像点

しかし物体と凸レンズの作図に関しては、この3本の光を把握し、定規で作図できるようになれば十分です。

凸レンズと光の屈折

🔦像点に集まる光

上記で作図してみた3本の光線は、光軸から離れた一点に集中することに気づきます。この点を、像点といいます。

像点

焦点は太陽光を集中させ熱を生み出し、

  • ローマ軍を焼き尽くす
  • オリンピックの聖火を作る

など、火を起こすために活用できました。


では、像点は何に利用できるのでしょうか?

🍎像点にスクリーンを置くと、リンゴが映る

像点はその名の通り、私たちにリンゴの像を見せてくれます


リンゴの像点がある場所にスクリーン(白い紙やフィルムなど、光を映し出すもの)を置いてみると、リンゴがハッキリ映ります。

スクリーンに映るリンゴの像
スクリーン(白い紙やフィルム等)に映るリンゴの像

自分が凸レンズの左側にいた場合は、像点にスクリーンがなければ何も起こりません。スクリーンを置いたときだけ、そこにリンゴが映ります。

像点にスクリーンを置く

これこそが、カメラの仕組みです。カメラは、中にスクリーン(フィルムなど)を設置しており、そこでできた像を記録したものが写真となります。


厳密に言えば、葉っぱの先だけでなく、

  • へた

などリンゴ全体からの光はそれぞれ像点を結ぶため、リンゴ全体がスクリーンに映し出されます。

リンゴがスクリーンに映る過程
カメラ
カメラは、物体からの光をスクリーンで記録する機械

レンズとスクリーンは、カメラの重要な2つのパーツです。

カメラのレンズとスクリーン
レンズで光を屈折させ、スクリーン(フィルムなど)に光を記録するのがカメラ

カメラとは、光をスクリーンで記録する機械だったのです。

🔃上下左右が反対の実像

スクリーンに映る像は、上下左右が反対の像になります。


凸レンズが、物体からの光を大きく屈折させるからです。

光学台と凸レンズ
凸レンズを通してスクリーンに物体を映す装置を光学台といいます。
物体と光学台とスクリーンと凸レンズ
上下左右が反対の像が映る

カメラのように、スクリーンに映る左右反対の像は実像です。虚像ではありません。

リンゴの実像

なぜなら、スクリーンに映った像を見るとき、目(脳)は光を延長したりはしていないからです。スクリーンに映る像は、実際にそこに光が集まっています。

スクリーンに映るのは実像

スクリーンに映るリンゴの像は、実際のリンゴではないので「虚像じゃないの?」と思いがちですが、虚像とは、目(脳)が光を勝手に延長した場所に見える像のことです。


スクリーンには、実際に光が集まっています。したがって、目(脳)は光を延長して出発点を作る必要がありません。言い方を変えると、目(脳)は勘違いしていない!


だからこれは実像です。スクリーンに映ったリンゴは食べられないので、実物(じつぶつ)ではありませんよ。
でも、実際に光が集まって像ができているので、実像(じつぞう)を名乗ることは許されます。

実像と虚像
実像と虚像について復習しよう!
乱反射と鏡面反射。光に騙され、富士の虚像に”魅せられる”

👀撮影にとって重要なピント合わせ

プロの写真家なら、あえてぼかして味のある写真を撮ることもあるかもしれません。


しかし基本的には、ピントが合っていない写真では感動できません。

ピントが合ってない写真
いわゆるピンぼけ

しかしそもそも、

  • ピントが合うとき
  • ピンぼけしているとき

の違いはどこからくるのでしょうか?

ピンぼけは、スクリーンの位置が合わないとき

スクリーンの位置がずれると、ハッキリした像が映らずにピンぼけします。


なぜなら、像点とズレた場所では、リンゴから出る光が一点に集まっていないからです。

スクリーンをずらしてピントを合わせる
しっかり像点とスクリーンをあわせないとダメ

物体が凸レンズから遠ざかったときのピント合わせ

例えば、ピントがしっかり合っていたときに、リンゴの位置を凸レンズから遠ざけてみましょう。

物体を遠ざけてみる

このときの像点の位置は、

  • 光軸と平行に入射する光は、凸レンズで屈折して反対側の焦点を通る
  • ②凸レンズの中心を通る光は、そのまま直進する
  • ③物体の手前の焦点を通る光は、凸レンズで屈折して光軸と平行に進む

の3本を描けば新しく判明します (2本でもいいけど)。

凸レンズから遠ざけたときの像点の位置

像点が凸レンズに近づきました。したがって、スクリーンの位置がこのままだとピンぼけしています。


スクリーンを像点へ移動させて、ピントを合わせましょう

スクリーンを移動させてピントをあわせる

その結果、小さなリンゴの実像がスクリーンに映りました。像点とスクリーンの位置が同じなので、ピントもしっかり合います。


凸レンズからリンゴを遠ざけた後は、スクリーンを凸レンズに近づけてピントを合わせる必要があるんですね。

凸レンズでピントを合わせるGIF

リンゴを撮影するとき、カメラからリンゴを遠ざけると、当然ながら小さなリンゴの写真が撮れます。その理由が科学的に理解できましたか?

物体が凸レンズに近づいたときのピント合わせ

では逆に、ピントがしっかり合っていたとき、リンゴを凸レンズへ近づけてみましょう。

物体を凸レンズに近づけたとき

このときの像点の位置も同じく、

  • 光軸と平行に入射する光は、凸レンズで屈折して反対側の焦点を通る
  • ②凸レンズの中心を通る光は、そのまま直進する
  • ③物体の手前の焦点を通る光は、凸レンズで屈折して光軸と平行に進む

の3本を描けば判明します(2本でもいい)。

リンゴを動かして像点をずらす

像点が凸レンズから遠ざかりました。したがって、スクリーンの位置がこのままだとピンぼけしています。


スクリーンを像点へ移動させて、ピントを合わせましょう

スクリーンにリンゴを合わせる

その結果、大きなリンゴの実像がスクリーンに映りました。像点とスクリーンの位置が同じなので、ピントもしっかり合います。


凸レンズからリンゴを遠ざけた後は、スクリーンを凸レンズに近づけてピントを合わせる必要があるんですね。

リンゴを凸レンズに近づければ、スクリーンを凸レンズから遠ざける必要がある

リンゴを撮影するとき、カメラからリンゴを近づけると、当然ながら大きなリンゴの写真が撮れます。その理由が「像点」をきっかけに、科学的に理解できれば素敵です。

⚖️物体と凸レンズの距離と、実像の大きさの関係

今まで行ったピント合わせについてまとめてみます。

物体と凸レンズの距離を遠ざけたとき

スクリーンを移動させてピントをあわせる

物体(リンゴ) を凸レンズから遠ざけると、

  • 凸レンズにスクリーンを近づける必要がある
  • リンゴの実像は小さくなる

ことが分かりました。👆の2つは暗記せず、3本の光線と像点を作図して理解できるようになってください。


物体を凸レンズから遠ざければ遠ざけるほど、小さな実像ができます

物体を凸レンズから遠ざけるほど、実像は小さくなる

物体と凸レンズの距離を近づけたとき

スクリーンにリンゴを合わせる

物体(リンゴ) を凸レンズから近づけると、

  • 凸レンズからスクリーンを遠ざける必要がある
  • リンゴの実像は大きくなる

ことが分かりました。こちらも暗記せず、3本の光線と像点を作図して理解すること!

物体と同じ大きさの実像を映すには?

物体と凸レンズの距離により、スクリーンに映る実像の大きさは変化しました。


では、物体と全く同じ大きさの実像を映すには、どの位置に物体を置けばよいでしょうか?

物体と同じ大きさの実像を映す

正解は、「物体と凸レンズとの距離が、焦点距離の2倍であるとき」です。

焦点距離
凸レンズの中心と焦点との距離が、焦点距離
焦点距離の2倍離す
焦点距離の2倍の位置に物体を置けば、同じ大きさの実像ができる

焦点距離は、凸レンズの質や分厚さによって変わります。しかしとにかく、

  • 焦点距離が 10mm なら、凸レンズから 20mm 離した地点に
  • 焦点距離が 5cmなら、凸レンズから 10cm 離した地点に
  • 焦点距離が 16cmなら、凸レンズから 32cm離した地点に

👆のように焦点距離の2倍離した位置に物体を置けば、全く同じ大きさの実像ができます。


当然このとき、

  • 物体と凸レンズとの距離
  • 凸レンズとスクリーンとの距離

は全く同じになります。

物体が焦点距離の2倍なら、スクリーンも焦点距離の2倍の位置に置くこと

「リンゴと全く同じ大きさの実像をスクリーンに映したい」ときは、焦点距離の2倍、凸レンズから離れたところに置きましょう

凸レンズを通してスクリーンに映る実像は、上下左右が反対になることをもう一度確認しておいてください。

物体と実像は、上下左右反対に映る

カメラがピントを合わせる仕組み

今まで学んだ通り、物体とレンズの距離に応じて、スクリーンの位置を動かせばピントを合わせることができます


しかし実際のカメラでは、実像が映るスクリーン(フィルムやセンサー)を動かすのではなく、凸レンズの方を動かしています。


例えば、👇の画像においては、スクリーンの位置が像点とズレており、ピンぼけしている状態です。

凸レンズとセンサー
これではピンぼけの写真しか撮れない

カメラで焦点を合わせるためには、スクリーンではなく、凸レンズを動かして対応するのが普通です。

カメラが焦点を合わせる方法
カメラがピントを合わせるイメージ図

👆のGIF画像を見てください。スクリーン(フィルムやセンサー)は一切動いていませんが、凸レンズを動かすことで像点自体を動かしています

  • 今まで学んだピント合わせ……スクリーンを動かす
  • カメラが行うピント合わせ……凸レンズを動かす

どちらの方法でも、要するに「スクリーンと像点の位置を合わせる」ことができればキレイな写真が撮れるのです。


ピントが合った状態でシャッターを押すと、光が記録されて立派な写真ができます。


カメラには、光の性質を利用する人間の知識と知恵が詰まっています。

📚おすすめ参考文献

📖参考になった書籍

カメラとレンズのしくみがわかる光学入門

今回の授業でカメラの仕組み概要を理解しましたが、実際のカメラはハイテクでもっと複雑、学びがいのあるものです。


この本はかわいいイラストと分かりやすい図で、カメラやレンズについての知識を一通りカバーしてくれています。カメラの仕組みを知りたい人にはありがたい本です。


理科に慣れていないと難しい部分も多いですが、カメラ好きな人はこの本をキッカケに勉強を深めていくのもいいですね。

▶️参考になったビデオ

レンズの機能【Canon公式】

Canonの公式チャンネルでのビデオ。


途中から、

  • 球面収差
  • 色収差

など難しい言葉が出てきますが、最初の方はいい感じのCGで分かりやすく凸レンズを理解できると思います。


焦点一つとっても、凸レンズ一枚だけでは一点に集中させることはできません。物理学を詳しく学んだレンズ技師の人たちが、優れたカメラを作っているんですね。

参考になったページ

カメラの歴史を見てみよう キャノンが運営している、理科を通してカメラの仕組みなどを解説するサイト。

球面レンズと非球面レンズ パナソニックのデジタルカメラ講座。今回の授業では凸レンズとカメラの仕組みを簡単に説明しましたが、本当はとっても奥が深い。

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