虫眼鏡が物体を大きく見せる理由の科学的解説

虫眼鏡が物体を大きく見せる理由 中1理科

今回の授業では、虫眼鏡が物体を大きく見せる理由を科学的に理解できるようにします。

凸レンズを利用した虫眼鏡

👆の写真はルーペ(虫眼鏡)です。おじいちゃんおばあちゃんが新聞を読むときや、探偵が小さな証拠を探すためにも利用されます。

この虫眼鏡の仕組み、

を理解した今なら、そんなに難しくありません。

👩🏻‍🏫物体と凸レンズとの距離おさらい

前回授業にて、凸レンズが生み出す実像のピント合わせを行いました。まさに、カメラのピンぼけの謎を理解したわけです。

物体と凸レンズの距離を遠ざけたとき

ここで少しおさらい。リンゴを凸レンズに遠ざけると、リンゴの実像は小さくなります。

スクリーンを移動させてピントをあわせる

物体(リンゴ) を凸レンズから遠ざけると、

  • 凸レンズにスクリーンを近づける必要がある
  • リンゴの実像は小さくなる

ことを、3本の光線の作図によって分かればOK.


そして、凸レンズから物体を遠ざければ遠ざけるほど、実像は小さく小さくなっていきます。

物体を凸レンズから遠ざけるほど、実像は小さくなる
物体を無限に遠ざければ、実像は無限に小さくなる

物体と凸レンズの距離を近づけたとき

反対に、リンゴを凸レンズに近づけると、リンゴの実像は大きくなります。

実像の大きさが変わる

物体を凸レンズに近づけると、

  • 凸レンズからスクリーンを遠ざける必要がある
  • リンゴの実像は大きくなる

ことが分かりました。


……さてここで問題。


ここから、さらにリンゴを凸レンズに近づけると、どうなるでしょうか?

物体を凸レンズに極度に近づける

具体的には、リンゴを焦点よりも凸レンズに近づけるのです。

物体を焦点よりも凸レンズに近づける

❌物体の実像ができないとき

それではいつも通りの作図をしてみましょう。

  • 光軸と平行に入射する光は、凸レンズで屈折して反対側の焦点を通る
  • ②凸レンズの中心を通る光は、そのまま直進する
  • ③物体の手前の焦点を通る光は、凸レンズで屈折して光軸と平行に進む
焦点よりも近づけた物体の作図

👆が作図の結果です。物体を焦点よりも凸レンズに近づけてしまったため、

  • ③物体の手前の焦点を通る光は、凸レンズで屈折して光軸と平行に進む

の光線は描くことができません。したがって、2本の光線で考えます


さて、上の図の2本の光が集まる点を探しますが、見ての通り、光が集まる点はありません。つまり、実像ができないのです。

実像ができない
2本の光は離れるばかりで、一点に交わることはない

作図すれば一目瞭然。

物体を焦点よりも凸レンズに近づけたときには、実像がでません。スクリーンをどこに立てても、スクリーンには何も映りません。

実像ができるときとできないとき

凸レンズを覗くと、虚像が見える

ここからもっと話が面白くなります。

巨大化する虚像リンゴ

物体を焦点以上にレンズに近づけると、もはや実像はできません。

実像ができない

しかし、この状況こそ、まさに虫眼鏡が物体を大きく見せる秘密が隠されています。

虫眼鏡

物体と反対側から凸レンズを覗いてみると、面白いことが起こります。

凸レンズを覗きこむ

👆図のように目(脳)は、2本の光を受け取ります (実際は無数にあります)。


すると、富士の虚像の回で学んだように、「この光は、直進して来たに違いない」と捉えてしまい、光を延長してしまいます。本当は屈折して届いている光もありますが、目(脳)には知るよしもありません。

光を延長し、虚像を見てしまう目

目(脳)が光を延長して探しだした出発点は、リンゴの葉先に対応するポイントです。


したがって、巨大化したリンゴの虚像が見えることになります。

巨大な虚像が見える
実像はできないが、凸レンズを通して物体を見ると、虚像が見える

リンゴが本当に巨大化したわけでなく、目(脳)が勝手に光を延長させて見えたリンゴです。だから、虚像(バーチャルイメージ)です。

虫眼鏡は、虚像を見せる道具

これこそ、まさしく虫眼鏡の仕組みです。


虫眼鏡で大きく見えていたのは、物体の虚像だったのです。

虫眼鏡で見える虚像

このように消しゴムが大きく見えるのも、凸レンズを通して虚像が見えているから。

虚像が見える

凸レンズでできる虚像は、スクリーンに映し出せない

虚像は実像と違って、そこにスクリーンを立てても何も映りません。

実像虚像とスクリーンの関係

虚像が見える場所には、何の光も集まっていないからです。光がない場所にスクリーンを置いたって、何も見えないのは当然です。


ある像がスクリーンに映せたならば、それは必ず実像です。虚像は決して、スクリーンに映し出すことはできません。

🤥凸レンズにおける、実像と虚像の違い

凸レンズが作る実像と虚像のおさらいをしてみましょう。

実像とは、実際の光が集まった像

スクリーンに映る実像

光源からリンゴで反射した光は、凸レンズを通じて像点に集まります。像点には、実際にリンゴからの光が集まっています。目(脳)が勝手に延長線を想像したりはしていません。


そして凸レンズを通してできる実像は、上下左右が反対の像です。凸レンズが、光を上下左右に屈折させるからです。

実像は上下反対の像

カメラは、スクリーンに映った実像を記録する機械です。

虚像とは、光をたどっていくと見える像

一方虚像とは、以下のように、物体を焦点より凸レンズに近づけたときに現れる像です。

目に入る光の、延長線をたどるとできる像です。

巨大な虚像が見える

この大きなリンゴの虚像、これは実際に光が集まっているわけではありません。


目が凸レンズを通して、勝手に光を延長して作った像なので、虚像(virtual image, バーチャルイメージ)ですね。

虫眼鏡の原理
虫眼鏡が物体を大きく見せる理由

虚像は凸レンズを覗いたときだけ見える像であり、見ての通り、上下左右ともに物体と同じ向きです。


今まで、虚像として、

  • 逆さ富士
  • 曲がって見えるストロー
  • 浮かび上がるコイン
  • 水面に映る逆さまの魚

など、たくさんの事例を学びました。虫眼鏡も、凸レンズが見せる虚像ですよ。

今まで学んだ虚像

🔥焦点に物体を置いた場合

凸レンズの前に物体を置いた場合の、2つのケースを学びました。

  • 物体を、焦点より凸レンズに遠ざけて置く…実像ができる
  • 物体を、焦点より凸レンズに近づけて置く…虚像ができる
実像と虚像ができる範囲

それではもし、この間のゾーン、焦点の上ピッタリに物体を置いたら、どうなるでしょう?

焦点ピッタリに物体を置く

焦点の真上に、ロウソクを置いてみました。
(リンゴは横幅があってややこしいので、ロウソクで考えます)

焦点の真上に置く場合

こんなときも、自分で作図してみるクセをつけましょう。

  • 光軸と平行に入射する光は、凸レンズで屈折して反対側の焦点を通る
  • ②凸レンズの中心を通る光は、そのまま直進する
  • ③物体の手前の焦点を通る光は、凸レンズで屈折して光軸と平行に進む
焦点に置いた物体は実像ができない

今回も、③の光線は真下に向かうだけで凸レンズを通ることができないため描きません。

焦点上の物体は、実像ができない

①と②の光線は平行になっているので、交わることがありません。したがって、スクリーンをどこに置いても、実像はできません


では、虚像ができるのでしょうか?光線を延長してみましょう。

焦点上の物体は、虚像もできない

焦点上の物体は、虚像もできない

描いてみて分かるように、延長した点線も平行で交わることがありません。


したがって、焦点ピッタリに置いた物体は、虚像もできません

📕凸レンズとできる像のまとめ

ここで、凸レンズと像について、表でまとめてみます。【カメラの仕組み】凸レンズを操り、実像のピントを合わせよう!を復習しながら確認してください。

🍎物体と🔎凸レンズの距離像の向きスクリーンに大きさ
A. 焦点距離の2倍よりも遠い実像上下左右反対映せる物体より小さい
B. 焦点距離の2倍実像上下左右反対映せる物体と同じ
C. 焦点距離の2倍よりも近い
(焦点よりは遠い)
実像上下左右反対映せる物体より大きい
D. 焦点よりも近い虚像物体と同じ映せない物体より大きい
E. 焦点距離なしなし映せないなし
凸レンズと物体との距離と像の関係まとめ

暗記するのはNGです。「え〜っと、この場合はどうだっけな」といった感じで作図して理解してください。

🔦全ては「光の性質」の理解から

私たちは今まで凸レンズを通して、

  • カメラの仕組み
  • 虫眼鏡の仕組み

の概要を学ぶことができました。


学んだ部分は、まだまだ表面の部分だけですが、

  • 望遠鏡
  • 顕微鏡

といった複雑で画期的な道具も、全ては所詮、光の反射や屈折の応用です。


光の反射、光の屈折、全反射、凸レンズ……などなど、様々なキーワードを深く学びましたが、しっかり復習することを意識してください。


それは直接、世の中の進歩の歴史や仕組みの深い理解に繋がり、人生を豊かにすること間違いありません。

📚おすすめ参考文献

📖参考になった書籍

発展コラム式 中学理科の教科書 改訂版 物理・化学編 (ブルーバックス)

『物理・化学編』『生物・地球・宇宙編』に分かれていますが、凸レンズや光に関しては『物理・化学編』に収録されています。


中学教科書の内容が網羅的に記載されており、また身近で不思議な事象を解説するページも豊富で、教科書に沿いつつ理科を楽しませてくれる本です。


虫眼鏡の解説自体はほんの1ページしかありませんが、派生して反射や屈折に関してたくさんの知識が学べます。

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