【錬金術入門①】純粋な物質を取り出す、ろ過の仕組み

ろ過 中1理科
  • 空気の中から窒素を取り出し肥料にする
  • 原油からナフサを取り出しプラスチックを作る
  • 鉄鉱石から良質のを作る

など、物質であふれる世の中から、自分のほしい物質だけを取り出したり、新しいものを作り出すのが化学の役割です。

不純物を取り除く化学

昔から世界中の錬金術師は、純粋な物質を取り出したり、熱したり混ぜたり溶かしたりして、貴金属や素晴らしい薬を作ってやろうと研究していたわけです。


そのためにはやはり「混ざっている物質から、純粋な物質を取り出す」ことがとっても大切な技術でした。


今回は、錬金術師たちが取り組んできた「純粋な物質を取り出す」代表的な方法、ろ過(ろか)を学びます。錬金術師(化学者)の技術を学んでみましょう!

錬金術師たち
貴金属を作り出すことは不可能だったが、化学の発展に大きく貢献

👩‍🔬 混合物と純粋な物質

砂糖水やデンプン水のように、2種類以上の物質が混ざっているものを混合物といいます。

  • 食塩水 (食塩と水)
  • 塩酸 (塩化水素と水)
  • 炭酸水 (二酸化炭素と水)
  • 空気 (窒素と酸素と二酸化炭素など)
  • 醤油 (水と食塩と大豆など)
  • 原油 (水素と炭素と金属類など)

などは、複数の物質が混ざってできているものだから混合物です。


一方、

  • 二酸化炭素
  • 食塩
  • エタノール

など、1種類のみからできている物質を、純粋な物質(純物質)と呼びます。


錬金術師には、混合物から純粋な物質を取り出す技術が求められます。

💧 水溶液をろ過してみよう

前回に、ギリシャのデモクリトスが唱えた、「全ての物質は、小さな粒子からできている」という原子論を学びました。


水などの液体も、小さな粒子からできているのです。

水も粒である

砂糖や食塩水が溶けた水は、溶質の粒が均等に水の中に広がって見えなくなり、透明な状態になっていましたよね。


逆に、粒子が大きなものは光を遮り不透明になり、「溶けた」とはいえない状態になるのでした。

溶けた物質と溶けていない物質
水に溶ければ、水溶液。溶けなければ水溶液とはいえない

この「溶質の粒子の大きさ」を利用して純粋な物質を取り出す技術が、「ろ過」です。

コーヒーシュガーとデンプンを水に溶かしてみる

まず、コーヒーシュガーと、デンプンをそれぞれ水の中に入れたとします。


コーヒーシュガーは粒の細かい溶質となって溶け込んだ、透明な水溶液になります。


逆に、デンプンのように粒子が大きい溶質の場合は、水に溶けることもなく、しばらく放置すると沈殿ができてしまうような液体です。

水に混ぜたコーヒーシュガーとデンプン

さぁ、コーヒーシュガー水溶液も、デンプンが混ざった液体も、どちらも混合物です。ここから、より純粋な物質を取り出してみましょう。

ろ紙を使って、デンプン液をろ過してみる

ここで、ろ紙を用意します。ろ紙とは、目に見えない小さな穴のある紙のことです。粒の小さな物質はろ紙を通りますが、粒の大きな物質は通り抜けることができません。

ろ紙の仕組み
黄色い粒は通り抜けられない

試しに、デンプンを水に混ぜた液体をろ過してみましょう。

漏斗にろ紙を入れますが、そのときはろ紙を少し水に濡らしておきます


そうすることで、ろ紙が漏斗にピッタリとひっついて実験しやすくなります。

水(溶媒)もデンプン(溶質)も、小さな粒子からできています。それぞれの粒子が、ろ紙にぶつかります。


水の粒子は小さいので穴を通り、デンプンは水に溶けられないほど粒が大きいので、穴を通ることができません。

デンプンと水が混ざった液体をろ過する図

上部のろ紙にはデンプンだけ残り、ビーカーには水だけが落ちていくということです。


ビーカーに落ちた液体を、ろ液といいます。

ろ液

これにより、「デンプンと水が混ざった液体」から「デンプン」だけを取り出すことができました!これが、錬金術師の最も基本的な技術です。

ろ過の素晴らしい機能
化学にとって、ろ過は欠かせない技術。この例では、純粋な「水」を取り出したとも言える

液体をろうとに注ぐときは、ガラス棒に伝わらせて行うこと。


直接注いでしまうと、液体がろうととろ紙の隙間に入ってしまい、しっかりろ過できません。ろ液が濁ってしまいます。

ガラス棒を使う理由

また、ろうとの足はビーカーにピッタリつけておかなければなりません。


ビーカーを伝わせることにより、ろ液が飛び散るのを防げるし、早くろ過できるからです。

優れた化学者(錬金術師)は、神経質なくらい慎重に実験をするのです。

☕ コーヒーシュガー水溶液をろ過してみる

では次はコーヒーシュガー水溶液をろ過してみます。

コーヒーシュガーをろ過する

コーヒーシュガーは粒が小さいので、透明な水溶液になっています。したがってコーヒーシュガーの粒も穴にスイスイ通るので、ろ紙には何も残りません


ろ液は、そのままコーヒーシュガー水溶液のままです。水溶液では、ろ過をしても物質を分けることはできませでした

コーヒーシュガー水溶液のろ過

コーヒーシュガーだけを取り出す技術

コーヒーシュガー水溶液は、ろ過しても意味がありませんでした。しかし当然、錬金術のためにはどうしても「純粋な物質」を取り出したいときがあります。


ろ過がダメでも諦めてはいけません。ろ過に頼らずとも、コーヒーシュガー水溶液を熱して水分を飛ばせば、コーヒーシュガーだけを取り出すことができます!

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  • ろ過
  • 加熱で水を飛ばす

この2つの錬金術師の技術を利用すれば、水溶液から目的の物質を取り出すことができます。(コーヒーシュガーは混合物です。)

🧙‍♀️ 錬金術の組み合わせ

水に、砂糖とデンプンが混ざった液体があったとします。砂糖だけ取り出したい場合は、どうすればよいのでしょう?

水と砂糖とデンプンが混ざった液体

これも、ろ過をすれば簡単。


その液体をろ過すると、

  • デンプンは水に溶けない大きな粒子なので、ろ紙を通らない
  • 砂糖は水に溶けるほど小さな粒子なので、ろ紙を通る
  • 水は小さな粒子なので、ろ紙を通る

ため、ろ液は砂糖水になるはずです。

砂糖を取り出す方法

そして、上のようにろ液を熱して水を蒸発させれば、砂糖の固体が手に入ります。


三種類が混ざった物質から純粋な砂糖だけを取り出す技術はまさに、錬金術師(化学者)が持っていた技術です。

錬金術師の大切な技術「ろ過」

「混合物」から「純粋な物質」を取り出すろ過の秘密を学びました。

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