この人は誰か知っていますか?世界的に有名な人物です。

彼の名はシャーロック・ホームズ。推理小説に登場する人物で、数々の難事件を解決した伝説の名探偵です。名探偵といえば江戸川コナンを想像する人も多いですが、「コナン」の名前はシャーロック・ホームズを生み出した小説家、コナン・ドイルから取っています。

シャーロック・ホームズは驚くべき推理力と観察眼を持っています。体の特徴や振る舞いだけで、初対面の人間の職業をピタリと当ててしまうほどです。変わり者ですが、深くて正確な科学(理科)の知識を持っており、その能力によって次々と事件の犯人を暴き出します。
そんなシャーロック・ホームズは、現場に残された僅かな証拠も絶対に見逃しません。普通の人なら決して気に留めないものも、鋭く厳しく観察します。

そんなホームズの必須アイテムはルーペ(虫眼鏡)です。ごく小さな証拠を見つけるため、重要なものは必ずルーペを使って詳しく観察し、決定的証拠を集めます。

「何でもルーペで詳しく観察し、些細な証拠も見逃さないこと」
このシャーロック・ホームズの姿勢は、これから理科を学ぶにあたって強く求められます。
そこで今回は、名探偵の必需品ルーペの使い方を学びます。身の回りの物体をルーペで観察する練習をすることで、細かい部分も見逃さない、シャーロック・ホームズのような厳しい姿勢を養うためです!
💐 身近な植物を探す
いろんな植物を観察するため、まずは外に出ていろんな植物を探してみます。例として、学校の校庭に生えている植物について考えてみましょう。

日当たりがよくて乾いている場所
まず、日当たりがよく乾いている場所に生えている植物を探してみます。日当たりが良い場所には、
- タンポポ
- オオバコ
- スズメノカタビラ
- カタバミ
などの花や雑草が生えています。上記の植物は、踏まれて固くなったような、比較的人通りが多い場所によく咲いています。人通りが多い場所によく見られます。

下の学校を例にしてみると、C や D あたりに生えている可能性が高いです。太陽は南を通るので、南側で陽を遮るものがない場所がいいですね。

河川敷など人通りの少ない場所の土は、踏まれていないので柔らかくなっています。日当たりの良い河川敷などに行けば、
- ススキ
- ブタクサ
などがよく生えています。


日当たりが悪くて湿っている場所
反対に、
- ゼニゴケ
- ドクダミ
- イヌワラビ
などの植物は、比較的日当たりが悪く湿った場所を好みます。以下の例で言えば、A や B や E あたりに生えている可能性が高いです。


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🕵️♀️ ルーペ (虫眼鏡) の使い方
いろんな植物を見つけたら、それらをシャーロック・ホームズのように、ルーペで詳しく観察してみます。ルーペは1,000円〜2,000円くらいで買えるくらいお手軽ツールですが、十分に小さな物体を拡大して見ることができます。
今回は、30倍と60倍のレンズがある便利なルーペを使っていきます。

30~60倍のルーペは、かなり倍率が高い部類のルーペです。
通常のルーペは2~3倍が多く、小さな文字を読んだり大きなものを観察するならば2~3倍で十分です。

倍率が高い方が高性能な気がしますが、倍率が低くて観察できるなら低いほうがいいです。視野が広く、明るく見えるからです。
例として、花をルーペで詳しく観察する場合を考えましょう。

花壇にあるような花や、人の土地の花は誰かが育てているので、勝手に取ってはいけません。花は河川敷や道端から一つだけ取り、家で花瓶に差したりして大切に観察しましょう 🌸
まず、できるだけルーペを目に近づけておくことが必要です。ルーペから目が遠ければ、観察範囲が狭くなり、しかもぼやけて見えてしまいます。

そして、手で持った花を徐々にルーペに近づけたり、離すことでピントを合わせてください。顔とルーペを動かしてピントを合わせようとする人もいますが、動きが大変で、酔って吐きそうになります。

ルーペを使って花を観察すると、単なる雄しべや茎でも十分な迫力があります。
ルーペで白い紙を覗いてみても、とても面白い光景がみれます。紙は一見ツルツルしていますが、高倍率のルーペで見ると繊維質でザラザラしていることが分かります。

その他、観察物自体を動かせない場合は、自分の目と頭を動かしてピントを合わせてください。
ルーペ(虫眼鏡)を使って、太陽やLEDなど強い光を見てはいけません。

強い光がルーペを通して一点に集まると、目の細胞を壊してしまい、失明する危険性があるからです。絶対に太陽などをルーペで見てはいけません。
🔍 植物をルーペで観察
早速植物をルーペで見てみましょう。例えば倍率が2倍のレンズだったら、物体の長さが2倍に見えるということです。正方形の物体の場合、面積は4倍に見えることになります。

タンポポをルーペで見てみる

タンポポは、たくさんの花びらがあるように見えます。しかし実は、花びらに見えるもの一つ一つが立派な一つの花です。したがって、一本のタンポポには100~200の花が集まっていることになります。
一本むしってルーペで観察すると、以下のような構造がよく見えます。

次回以降に、じっくり一つ一つの機能を詳しく学びます。もしルーペを手に入れたら、いろんな植物や昆虫などをじっくり観察してみると面白いですよ。
🔬 双眼実体顕微鏡の使い方
「ルーペよりもっと詳しく観察したい!」という場合には、双眼実体顕微鏡という器具があります。
ルーペは2倍や5倍あたりの倍率のものが多いですが、双眼実体顕微鏡は30~40倍の倍率で楽に物体を観察することができます。

ルーペは簡単なものなら100均であるし、高性能でも2,000~3,000円。双眼実体顕微鏡は本格的な器具ですが、20,000~30,000円で買えます。
両目の間隔に合うように鏡筒(きょうとう)を調節。視野が一つに見えるように。

両目の幅は人それぞれです。まずは鏡筒を動かして、両目の幅ピッタリに合わせてください。

粗動ねじを使って鏡筒を上下させ、ある程度両目のピントを合わせる

粗動ねじの “粗” は「あらい、大雑把(おおざっぱ)」という意味です。粗動ねじを回せば、鏡筒が上下します。接眼レンズを覗きながら、最初は大雑把に両目のピントを合わせます。
何でも物事は、まずおおざっぱにやってから、後で微調整をすることが大事なのです。
右目だけで覗きながら微動ねじで微調整し、右目のピントを完全に合わせる

粗動ねじで大雑把に両目のピントを合わせたら、次は片目ずつ微調整です。
右目だけで接眼レンズを覗きながら、微動ねじで細かく動かし、右目のピントを完全に合わせていきます。
左目だけで覗きながら視度調節リングで左目のピントを完全に合わせる

右目のピントが合っただけでは、左目もよく見えるとは限りません。左右の目では視力が微妙に異なっているからです。
そこで、左の接眼レンズについている視度調節リングを使い、左目のピントも完全に合わせます。これで、もう完全に物体を観察できます。
視度調節リングは接眼レンズの左についていることが多いですが、右についていても特に機能に問題はないです。
双眼実体顕微鏡の使い方まとめ

双眼実体顕微鏡の使い方を以下にまとめます。
- 両目の間隔に合うように鏡筒を調節。視野が一つに見えるように。
- 粗動ねじを使って鏡筒を上下させ、ある程度両目のピントを合わせる
- 右目だけで覗きながら微動ねじで微調整し、右目のピントを完全に合わせる
- 左目だけで覗きながら視度調節リングで左目のピントを完全に合わせる
🕵️♀️ 身の回りのものをよく観察してみよう!
生物や物理など、これから理科に強くなっていくためにはシャーロック・ホームズのような「小さな証拠も見逃さない」厳しい目が必要です。

© Twentieth Century-Fox Film Corporation
- 🌱 道端の雑草
- 💎 砂や石
- ✏️ 筆記用具
- 💇♀️ 皮膚や髪の毛
などなど、とにかく身の回りの物をルーペや双眼実体顕微鏡で詳しく観察してみてください。意外と楽しいです。
📚 おすすめ参考文献
📖 参考になった書籍
・緋色の研究 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
『緋色の研究』はシャーロック・ホームズが初めて登場した殺人事件を描いたストーリーです。約150年前の作品であり、当時のロンドンが舞台です。
シャーロック・ホームズシリーズの見どころは当然、ホームズの推理と観察眼にあります。常人では気づかない些細なことにも敏感に反応し、確実に事件解決の手がかりを掴むばかりでなく、その裏付けを取るための行動力にも驚かされてしまいます。
上のリンクにある光文社の新訳は読みやすく、読書が好きな人ならすぐに1冊読み終えることができます。シャーロック・ホームズに憧れ、科学的思考の素晴らしさに気づく人が増えてほしいです。
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