融点&沸点を学び、メタンを飲む宇宙人を探せ!

エタノールの加熱 中1理科

物質を熱すると状態変化しますが、その様子をグラフに表すと、以下のようになりましたね。

物質の状態変化グラフ

今回は実際にエタノールを熱した実験を学び、その後は物質の融点と沸点に関する問題を出していきます。



問題に答えて「融点と沸点の理解」を深めた後は、宇宙人が存在する可能性について学びます。


実は、地球人では考えられない、ある物質をゴクゴク飲んで生きている宇宙人がいるかもしれないのです!

エタノールを熱して状態変化させる

今回は具体的に、エタノールを実際に熱することから始めてみましょう。


エタノールは、殺菌/消毒によく使われるアルコールの一種です。

エタノール

エタノールを熱する時は、ガスバーナーを使いながら、以下のようにセッティングします。

エタノールの熱し方

エタノールを熱する際の注意点

エタノールは、水のように直接ガスバーナーで熱してはいけません。エタノールは非常に燃えやすくて危険だからです。


アルコールの燃えやすさを甘く見ることなく、熱した水の中にいれて、間接的に熱することが大切です。


これにより、引火を防ぐことができます(引火とは、熱により物質が燃えだすこと)。

エタノールは直接熱さないこと
間接的に温め、エタノールの引火を防ぐ

またご存知の通り、エタノールを熱することで液体から気体になるときは、体積が爆発的に増えます。

気体の膨張
蒸発すると、水なら体積が約1700倍になる

だから、もしエタノールが一気に沸騰してしまうと、激しい爆発など事故が起こることがあります。


それを防ぐため、沸騰石を入れておくことが大切です。

沸騰石
急な沸騰を防ぐ沸騰石

沸騰石を液体にいれておくと、熱することで少しずつ沸騰してくれます。後で急激に一気に沸騰すること(突沸)を防げるので、沸騰石を入れることが安全に繋がるのです。

突沸を防ぐ沸騰石
沸騰石があれば、沸騰は少しずつ起こる

エタノールを熱した状態変化グラフ

エタノールを加熱した時間を横軸、温度を縦軸にすると、以下のようなグラフを描くことができます。

エタノールの状態変化グラフ

エタノールは加熱していない状態では液体です。加熱を始めると、徐々にエタノールの温度が高まります。


しかし、エタノールの沸点である78℃まで上昇すると沸騰が始まります。

エタノールの沸騰が始まるポイント

沸騰が始まると、たくさんの熱が状態変化のために吸収されるので、沸騰中は温度は上がりません。


このグラフは、状態変化の一般的なグラフと全く同じです。一部分を切り取っているだけ。

通常の物質とエタノールの状態変化グラフ
エタノールは加熱時間が0のときも、すでに液体である

エタノールで記録した以下のようなグラフがあった場合、一つの状態変化の様子しか描かれていないため、それが融点なのか沸点なのか分からないことがあります。

融点か沸点か判断できない

この場合は、「その物質は、常温(20℃)のときに固体/液体/気体のどの状態か」を考えれば判断できます。


エタノールのグラフであれば、エタノールは常温で液体なので、上の表では明らかに沸点を表すはずです。


逆に、上のグラフが常温で固体の物質であった場合、上のグラフは融点を表すでしょう。

物質の分量とグラフの変化

例に挙げたエタノールのグラフでは、加熱時間が3分たったときに沸騰がスタートしていますよね(沸点の78℃になるまで3分かかった)。

沸騰スタートの瞬間

ここでもし熱するエタノールの量を2倍にすると、加熱時間が6分たったときに沸騰がスタートすることになります(沸点の78℃になるまで6分かかる)。

熱するエタノールを2倍にしたときのグラフ

沸騰にかかる時間も2倍になることも、同時に注意しておきましょう。

様々な物質の融点と沸点

物質それぞれには融点と沸点があるので、「これは何の物質か?」を知るためには融点と沸点を調べれば十分です。


もしある物質の融点が0℃で沸点が100℃であれば、それは必ずです。

融点と沸点を表す表

水とエタノールと合わせて、その他の物質の融点と沸点をまとめてみましょう。

物質融点(℃)沸点(℃)
酸素-218-183
窒素-210-196
メタン-183-162
エタノール-11478
0100
ナフタレン81218
水銀-39357
食塩8001413
アルミニウム6602467
15382862

もちろん、酸素や窒素などにも融点と沸点はあります。


これらは常温では気体ですが、

  • マイナス183℃より冷えれば液体に
  • マイナス218℃より冷えれば固体に

なる物質です。

液体酸素
マイナス183℃より冷えた液体酸素。青い液体。

融点と沸点から、物質の性質を読み取る問題

物質の状態は、

  • 融点より低い温度のとき……固体
  • 融点と沸点の間のとき……液体
  • 沸点より高い温度のとき……気体

と変化します。

融点沸点と物質の状態

ここで、もう一度表をみてみましょう。


以下の表を読みながら、問題に答えてみてください。正確に答えられるでしょうか?

物質融点(℃)沸点(℃)
酸素-218-183
窒素-210-196
メタン-183-162
エタノール-11478
0100
ナフタレン81218
水銀-39357
食塩8001413
アルミニウム6602467
15382862

問題1.

常温(約20℃)で、固体である物質を上の表から全て選びなさい。

💮解答&解説はここをタップ

答え: ナフタレン、食塩、アルミニウム、鉄


固体を聞かれているので、まず【固体と液体の境目】である融点に着目します。


20℃で固体であるということは、「20℃では、融点にも達していない物質」である必要があります。融点が20℃より高ければよい。

20℃で固体の物質

表を見ると、融点が20℃より高い物質は…

物質融点(℃)沸点(℃)
酸素-218-183
窒素-210-196
メタン-183-162
エタノール-11478
0100
ナフタレン81218
水銀-39357
食塩8001413
アルミニウム6602467
15382862

ナフタレン、食塩、アルミニウム、鉄の4つ。


確かに食塩もアルミニウムも鉄も、常温では固体ですよね。ナフタレンも常温で固体の物質です。

問題2.

マイナス30℃の環境で、液体である物質を上の表から全て選びなさい。

💮解答&解説はここをタップ

答え: エタノール、水銀


液体を聞かれているので、融点沸点どちらも注目します。


マイナス30℃で液体であるということは、「融点がマイナス30℃より低く、沸点がマイナス30℃より高い」必要があります。


つまり、マイナス30℃を融点と沸点が挟むような物質です。

マイナス30℃で液体の物質

表を見ると、融点と沸点の間にマイナス30℃があるような物質は…

物質融点(℃)沸点(℃)
酸素-218-183
窒素-210-196
メタン-183-162
エタノール-11478
0100
ナフタレン81218
水銀-39357
食塩8001413
アルミニウム6602467
15382862

マイナス30℃の状態が、融点と沸点の間にあるような物質はエタノールと水銀の2つです。

問題3.

10℃では液体ですが、120℃では気体である物質を上の表から全て選びなさい。

💮解答&解説はこちらをタップ

答え: エタノール、水


10℃で液体である物質は、融点沸点の間に10℃がある必要があります。

10℃で液体である物質

表を見ると、

物質融点(℃)沸点(℃)
酸素-218-183
窒素-210-196
メタン-183-162
エタノール-11478
0100
ナフタレン81218
水銀-39357
食塩8001413
アルミニウム6602467
15382862

10℃の環境で液体であるのは、エタノール、水、水銀の3つです。


さらに120℃で気体になるためには、沸点が120℃より低い物質であるはずです。

120℃で気体である物質

エタノール、水、水銀の3つの中で、沸点が120℃より低いのは…

物質融点(℃)沸点(℃)
酸素-218-183
窒素-210-196
メタン-183-162
エタノール-11478
0100
ナフタレン81218
水銀-39357
食塩8001413
アルミニウム6602467
15382862

エタノールと水です。水銀は357℃でやっと沸騰するので、120℃ではまだ液体です。

宇宙人はいるのか?

物質の融点と沸点を学べば、酸素でさえ液体や固体になるし、鉄でさえ液体や気体になることが理解できたはずです。

液体酸素
マイナス183℃より冷えた液体酸素。青い液体。
融解した鉄
融解して液体になった鉄

映画『ターミネーター2』でも、シュワルツネッガー演じるT-800は、最後は高熱である液体の鉄に沈んでいきました。

温度により変わる状態

このように、「その物質が気体であるか、液体であるか、固体であるのか」は温度によって変わります(分子の状態が変わるから)。

圧力鍋で学んだように、物質の状態は気圧も関係しますがここでは無視します。

私たちは普段、「酸素は気体だよ」と考えていますが、それは地球の常温が20℃くらいだからです。


マイナス200℃の星では、酸素は液体です。

酸素の融点と沸点

マイナス183℃を超えて初めて、酸素は沸騰して気体になります。

沸騰する酸素
沸騰して気体になる液体酸素

同様に、「鉄は固体だよ」と考えていますが、3000℃の星に鉄があったら、ふだん気体です。

観測史上で最も熱い惑星は、昼間に表面温度が4300℃になる KELT-9b と名付けられた惑星です。

右がKELT-9b

この星に宇宙人👽が住んでいたら、「鉄って気体だよね?」と言うはずです。

史上最も熱い惑星を発見 東京大学

メタンの湖があるタイタン

さて、今回は宇宙人など地球外生命体が住んでいるかもしれない、とても不思議な星について学んでみましょう。


土星の衛星であるタイタンでは、水の代わりにメタンが大活躍している星です。

太陽系での土星
太陽系の惑星たち

タイタンを発見したのは、オランダの天文学者ホイヘンスです。彼は1655年に、自作の望遠鏡で土星を周るタイタンの存在を確認しました。

クリスティアーン・ホイヘンスとタイタン
タイタンとホイヘンス。タイタンは大気に覆われているのでぼやけて映る

400年前にホイヘンスが見つけたこのタイタン、実はなんと地球外生命体の存在が期待できる星の一つなのです。


なぜならば、タイタンにはメタンのがあり、メタンの雨が降るからです。

タイタンの湖
NASAが撮影した、タイタンの湖

メタンとは、地球では温暖化の強い原因となる温室効果ガスとして知られています。


そう、メタンの融点と沸点はとても低いので、地球では常に気体です。

物質融点(℃)沸点(℃)
メタン-183-162

しかし……、タイタンは太陽から遠いので、その表面温度は約マイナス180℃


ということは、タイタンでは、メタンは基本的に液体なのです。まるで、地球でいう水のようです!

タイタンと地球の違い

星で生命が生きるためには、地球のように、

  • 湖(海)

による水の循環が必要だと考えられています。


しかしタイタンには水の代わりに、

  • メタンの海(湖)
  • メタンの雲
  • メタンの雨

があることが確認されています。地球の水のような、メタンの循環が実現しているのかもしれません。

タイタンのメタン海イメージ図
適当なイメージ図。タイタンでは、大きなメタン湖の深さ100mを超えると言われる

「液体が安定して存在する星」は、太陽系ではたった2つ。


水を持つ地球(惑星)と、メタンを持つタイタン(土星の衛星)だけ。


もしタイタン人が存在するなら、地球人が水を飲むように、きっとメタンをゴクゴク飲んで生きているのでしょう。


タイタン人からすると、水を飲むなんて信じられないはず。マイナス180℃の星に住む彼らにとって、水なんてただの固い岩石です。

タイタンの地表
タイタンに上陸した探査機ホイヘンスが撮影した写真

タイタンは生命体の存在が期待されていますが、「メタンは循環しているわけではなく、いつかタイタンのメタンはなくなるだろう」と考える説もあります。

参考: Titan’s Methane: Going, Going, Soon to Be Gone?

可能性は0ではないものの、地球以外での生命体の存在を確認するのは、とても難しいことですね。

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