【圧力とその単位Pa(パスカル)を理解し、釘の上で眠ってみる】を読んだ人は、圧力に詳しくなっているはずです。圧力とは、「力がどれくらい集中しているか?」を表す指標でしたね。
そのままだともったいないので、実際に圧力の計算ができるよう練習してみましょう。

問題: スポンジの上のレンガ
スポンジの上に、同じ重さの2つのレンガが置いてあります。スポンジはへこんでいます。

①の面の面積が 0.06m² で、②の面積が 0.02m² だとして、それぞれの面を下にしてスポンジの上に置いています。
②を下にした方が、スポンジは大きくへこんでいますよね。②の方が面積が小さく、圧力が大きくなるからです。
①を下にしたときの圧力Pa を求めましょう
では早速、それぞれの圧力を求めてみましょう。まず①を下にしたときの圧力から。
レンガの①の面の面積は 0.06m² 、レンガ自体の重さは 1.2kg なので、N になおすと 12N です。

上のように代入すると、答えは 200Pa になりました。
②を下にしたときの圧力Pa を求めましょう
②を下にした場合の計算も、自分でやってみてください。以下の答えを見る前に自分で取り組んでみてください。

今回は②の面を下にしているので、面積は 0.02m² で計算します。結果、600Pa という答えが出ています。

同じレンガでも、下にする面を変えるだけで、圧力に大きな差が出ることが分かります。
この例では、重さは全く同じですが、下にする面の面積を 3分の1 にするだけで、圧力は 3倍 になりました。(200Pa → 600Pa)
この関係を理解すれば、①の面を下にしたときに 200Pa の結果が出れば、②の面を下にしたときの圧力は、3倍の 600Pa だと計算せずに分かったはずですね。
圧力は何倍ちがうのか?

上のように、スポンジの上に青い水筒があったとします。水筒の中には水が入っていて、全て合わせた水筒の質量は 1kg です。
上部と下部の底面積は、それぞれ 20cm² と 100cm² です。
20cm² を底にした場合の圧力は、100cm² 部分を底にした場合の圧力の何倍になるか?

面積が小さいので、当然①の圧力の方が大きくなりますし、スポンジも大きくへこんでいます。
具体的に①の圧力は、②の圧力の何倍になっているのでしょう?
こちらの考え方もとても簡単で、同じ重さの物体の場合、圧力は面積の大きさに反比例します。

この場合、①でスポンジに接している面積は、②の 5分の1 になっています。これは、①の方が、5倍も力を集中させているということです。
つまり、圧力は 5倍 だと分かります。
反対に、②の面積は①の5倍なので、①に比べて 5分の1 しか力が集中していません。圧力も①の 5分の1 だと分かります。
①の水筒の水を抜いて軽くしたら、スポンジのへこみ具合が②と同じになった。①の質量はいくらになった?

①の方がスポンジに接する面積が小さいので、圧力は大きくなり、スポンジは大きくへこんでしまいます。
しかし、①の中の水を抜くと軽くなり、 N が減るので圧力は小さくなります(スポンジのへこみも小さくなる)。
①と②のスポンジのへこみ具合が同じになったとき(つまり、圧力が同じになったとき)には、①の質量は 何kg になっているでしょう?
これも簡単で、面積が 5分の1 なのに圧力が同じであるということは、その分重さも 5分の1 になっているということです。

「質量はいくつになっているか?」と聞かれたら、N でなく g で答えてあげましょう。この場合は、200g が答えです。0.2kg でもOK.
①と②の圧力を求めましょう

では最後に、具体的な圧力の計算。
圧力の式を思い出し、計算してみましょう。まずは①の圧力から。
こちら、計算する前に、 20cm² を m² の単位に変えなければいけません。
圧力の公式の分母は、あくまでも m² だからです!

上記の計算により、 20cm² は 0.002m² であることが分かりました。
あとは、圧力の公式を使って計算するだけ。もちろん、100g = 1N として考えるので、1kg は 10N で計算できます。

①の答えは 5000Pa 。
次は②の圧力ですが、
同じ重さであり、なおかつ ②の底面積は①の5倍であるため、圧力は 5分の1 になるはずですよね。だから、①の圧力5000Pa に 5分の1 をかけるとすぐに答えが出ます。

答えは 1000Pa です。
②の圧力を最初から計算すると…、
底面積は 100cm² 。m² になおすと 0.01m² (小数点を4つずらす).
力は 10N なので、圧力の公式を使えば以下のような計算になります。

ハイヒールを履いたときの圧力
体重 40kg の人が、ハイヒールを履くとします。
つま先の部分には体重の 70% の力が、ヒールのとがった部分には体重の 30% の力がかかるとします。

つま先部分の面積は 40cm² であり、ヒール部分の面積は 4cm² です。
つま先部分とヒール部分、それぞれにかかる圧力は 何Pa になるか?
では、片足のそれぞれにかかる圧力を計算しましょう。
圧力(Pa)を求めるには、力(N) と 面積(m²) をハッキリさせる必要があります。

この人の質量は 40kg(40,000g) なので、100g = 1N で考えると、重さは 400N です。したがって、ハイヒール片足全体にかかる力は 200N です。
その 200N のうち、つま先部分には 70%, ヒール部分には 30% がかかります。
計算すると、つまさき部分には 140N, ヒール部分に 60N の力がかかることになります。

そして、つま先とヒールそれぞれの面積の単位が cm² になっているので、m² に直しましょう。パスカルの公式は、あくまでも m² が単位ですね。

つま先部分の面積は 0.004m², ヒール部分は 0.0004m²。
圧力の計算に当てはめると、以下の計算。

つま先部分は 35000Pa, ヒール部分は150000Pa でした。
圧力のまとめ
圧力とは、「力がどれくらい集中しているのか?」を表す単位です。
つまり、圧力を高めたい時は接する面積を小さくして、圧力を弱めたいときは接する面積を大きくするのが基本です。
これは、今回でたくさんの圧力の計算をして気づいたことだと思います。
「なぜ包丁が危険なのか?」など、身の回りのことと圧力を関連させて考えられるようになりましょう!
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