雑草があえて厳しい環境で生きる理由。弱くて強い『ど根性大根』の雑草魂

雑草 中1理科

庭や道路にはたくさんの雑草があります。雑草は、そこに植えた覚えのない、人間には邪魔な植物だと考えられています。


雑草を放っておけば、庭は雑草だらけになってしまいます。建物が取り壊された空き地に、草が生い茂っているのを見たことがあるでしょう。

空き地や道端の雑草
空き地や道端の雑草
  • 空き地
  • 道路脇
  • 公園

雑草はどこにでも生えてきます。屋根の上に生えることも珍しくありません。キレイに整備したい場所に雑草が生えていたら邪魔ですし、野菜など他の植物を育てていたら、雑草に栄養も取られてしまってとても困ります。


だから人間はいつも、雑草を引っこ抜いて駆除しようとします。しかしいくら抜いても雑草は必ず生えてきます。インターネットでは、雑草の駆除方法を探している人がたくさんいます。

雑草のgoogle検索
google検索のサジェスト。「対策」「熱湯」「塩」など、雑草を駆除する方法がたくさん検索されている

こういった、「コンクリートや、人間に引っこ抜かれるような厳しい環境でも立派に生きる、たくましい様子」を雑草魂と呼んだりします。「雑草魂を持って、辛いことが重なっても必ず頑張り抜いて見せます!」なんて言ったりします。

上原選手
Ship1231, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
元巨人の上原投手。『雑草魂』という本も出した

世界的な野球選手である上原投手は、高校時代もレギュラーになれず、大学入試も失敗します。しかし辛い環境でも負けない雑草魂を発揮し、メジャーリーグで大活躍する投手になりました。


今回は、そんなカッコいい雑草について深く勉強します!最後には『ど根性大根』を学びながら人生について考えましょう。

🌱 雑草のある場所

まず一例として、学校近くにある雑草を見てみましょう。

校庭に生えている植物

日当たりがよく、乾いた場所を好む雑草たち

まず、日当たりがよく乾いている場所に生えている植物を探してみます。日当たりが良い場所には、

  • タンポポ
  • オオバコ
  • シロツメクサ
  • カタバミ

などの花や雑草が生えています。上記の植物は、踏まれて固くなったような、比較的人通りが多い場所によく咲いています。

タンポポ

タンポポ
校庭でも道路でも、日当たりよければどこでも生えるタンポポ

タンポポは綺麗なので「雑草」とは呼びたくないですが、別に植えてもいないのにどこでも綿毛を飛ばして勝手に生えてくるので、雑草という分類にします。風に乗ってふわふわと、どこまでも生息範囲を伸ばします。

オオバコ

オオバコ
オオバコ。車に踏みつけられてもへっちゃら
‘Uncle Carl’ (カールおじさん)., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

オオバコも道路脇でよく見る雑草です。薬草としても使われるらしいです。

人間や車に踏みつけられても決して折れません。たくましさを持った、雑草らしい雑草です。

白詰草(シロツメクサ, クローバー)

シロツメクサ、クローバー
シロツメクサの四葉のクローバーを見つければ幸運が訪れると言われる。

シロツメクサは有名なクローバの葉を持つ雑草です。普通は三つ葉ですが、四葉を見つけると幸運が訪れるといいます。


庭にびっしり一面に生えることがあるほど繁殖力が強いです。庭に生えてしまえば、駆除するのはなかなか難しいでしょう。

カタバミ

カタバミ

カタバミも繁殖力が強く、厄介な雑草です。このカタバミは、シロツメクサ(クローバー)とよく誤解されています。カタバミの葉っぱは、クローバーによく似ているのです。

カタバミの葉
クローバーと間違えやすいが、これはカタバミ。幸運を呼ぶのはあくまでも四葉のクローバーである

カタバミはハート型の葉が3つ繋がっています。一方シロツメクサ(クローバー)はハート型ではありませんし、白い模様があるのが特徴です。

シロツメクサ、クローバー
これがクローバー。ハート型でなく、白い模様が特徴

学校の中でこれらの雑草を探したい場合、日当たりの良い南側や、建物に日光が遮られていない場所を探しましょう。つまり、CD に生えている可能性が高い。

タンポポが咲いている場所

日当たりが悪く、湿った場所を好む雑草たち

反対に、

  • ゼニゴケ
  • ドクダミ
  • イヌワラビ

などの植物は、比較的日当たりが悪く湿った場所を好みます。彼らは乾燥にとても弱いので、日光が少なくなったとしても、水分がある場所にいます。


以下の例で言えば、ABE あたりに生えている可能性が高いです。

学校に生えるコケとタンポポ
北側や、建物に遮られる場所は日当たりが悪い
ゼニゴケ
庭や森など日当たり悪い場所の一面に生えるゼニゴケ
引用元: Journey-Men
ドクダミ
ドクダミ。どちらかというと日陰が好き。ハート型の葉
引用元: 住友化学園芸
イヌワラビ
イヌワラビ。湿って水分が多い場所が好き。

雑草の住処まとめ

今まで紹介した雑草の住処をまとめました。

日当たりのよい場所に住む植物、日当たりの悪い場所に住む植物

🍖 弱肉強食の世界で敗れ去った雑草たち

今まで紹介した雑草が生きている場所は、

  • 空き地
  • 道路脇
  • 公園

など、常に人間や車に踏みつけられ、摘み取られ、駆除される場所です。人間に「雑草」と名付けられるくらいなので、嫌われて、邪魔者だと思われています。


植物が生きていく場所としては、明らかに厳しい世界です。誰も来ない山奥の森に生えている方が、遥かに安全であるはずです。


しかしなぜ、雑草はこんなにも厳しい環境を選び、駆除されても次から次に生えてくるのでしょうか?


「雑草は強い植物だから、厳しい環境でも生きていけるのだ」と考える人がいます。しかし、実はそれは間違いです。

競争に弱く、敗れ去った雑草

植物は動物とは違い、自分で獲物を見つけて食べる必要はありません。

  • 土中の養分

などがあれば、光合成により自分で栄養素を作り出すことができます。獲物を捕まえなければ餓死してしまう動物に比べ、簡単に生きていけるように思えます。


しかし逆に言えば、植物は光や水を奪わなければ餓死してしまいます。だからこそ植物が生きる場所としては、人間の手の届かない山奥の森が最適です。


土の中には水も栄養も豊かだし、光もしっかり降り注ぐからです。

植物の競争
植物は、日光や土の中の水分と養分を奪い合う戦争をしている

しかし、植物にとって最適な山奥では、植物同士の競争が激しくなります。植物は基本的に、上へ上へ伸びなければなりません。そうしなければ、もっと背の高い他の植物に光を遮られてしまうからです。さらに、土中の水分や養分を取られないよう、下へ下へしっかりとした根を張り続ける必要があります。


「人間や動物に踏まれたり、駆除されることのない理想的な場所」で生きている植物の世界は、過酷な競争社会なのです。


所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。
この競争に敗れた植物は、光や栄養を摂ることができません。そして、成長できずに絶滅します。

  • タンポポ
  • オオバコ
  • シロツメクサ
  • カタバミ
  • ゼニゴケ
  • ドクダミ
  • イヌワラビ

これらの雑草はその性質上、この自然競争には決して勝利することはありませんでした。彼らの体は、背を高く伸ばすことも、強く根を張ることにも向いていなかったのです。

自然競争に敗れた雑草

💪 雑草は、弱くて強い

雑草は、山奥に生える強い植物には絶対に勝てません。競争を挑めば、そこには死が待っています。


雑草は、たしかに弱い植物でした。しかしその代わり、不屈の魂を持っていました。彼らは競争の激しい山奥を捨てて、人間がいるような街中で生き抜く道を選んだのです。


つまり雑草は、競争が激しくて辛い場所からさっさと逃げ出し、新しい可能性を探すことにしたのです。

雑草は町中を選ぶ
雑草は、街に出て生きることを選んだ

街中を生き抜く雑草の強さ

確かに街中には背の高い強い植物がいないため、背の低い雑草でも日光や水分を得ることができるでしょう。しかし、人間たちが作った街は、決して植物に住みやすくはできていません。


そこで雑草たちは、せめて街中ではたくましく生きようと頑張ることにしました。

タンポポの努力

タンポポ

タンポポも背が低いため、街中で生きることを選びました。タンポポが素晴らしいのは、人や車にどれだけ強く踏みつけられても、ほとんどダメージを受けない体を作ったことです。ペッチャンコになってしまっても、元気に花を咲かせることができます。


さらに念には念を、タンポポは他の植物が葉を付ける前に葉をつけて光合成を済ませてしまいます。他の植物が葉をつけ、タンポポへの光が少なくなった頃には、すでに栄養分が蓄えられているのです。

オオバコの努力

オオバコ

オオバコもタンポポと同様に、踏まれても体がちぎれない強さを身につけて都会に住めるようになりました。背が低い分、茎が短く、丈夫な体です。


オオバコはさらに、自分を踏みつけるような、

  • 👞 人間の靴の裏
  • 🚗 車のタイヤ

などに自分の種子をくっつける術を身に着けました。そうすることで、彼らに種子を遠くまで運ばせて生息地域を広げています。


タンポポは綿毛を遠くまで飛ばして生息地域を広げますが、オオバコは他の動物や機械を利用する。都会に生きることを逆に利用する、大変賢い雑草です。

白詰草(シロツメクサ, クローバー)の努力

シロツメクサ、クローバー

シロツメクサ(クローバー)も背が低いため、街中を選んだ雑草です。しかし街中であれば突然ビルが建ち、それに遮られて日光が受けられないこともあります。


そんなときのため、シロツメクサは何と自分で移動します。葉っぱをつけた茎を地面に這わせて伸ばすことで、建物や他の背の高い植物がいない場所へ移動します。そうしていつでも光を受け取れるようにしています。

シロツメクサの戦略

👍 競争から逃げ、大成功した雑草

雑草たちは、背を高くすることもできず、根を張って周りの植物を蹴散らす力がない植物でした。光や水の奪い合い競争には負けてしまった、弱い植物たちでした。

負けた人のイラスト(男性)

しかし雑草がエライのは、「ここで ”背の高さ競争” なんてしていても絶対に勝ち目はない」と早く気づき、自分に向いてない場所からさっさと逃げて、新天地で戦う勇気を持っていたことです。雑草は、決して高く伸びるようにはできていません。もし「ここで競争を頑張ってみよう」なんて考えていたら、彼らは死に絶えていたでしょう。勝てない勝負は、絶対にしてはいけない


雑草は山奥から逃げる代わりに、人間たちに踏み潰され、駆除される厳しい街中で戦う道を選びました。その環境に適応した今では、人間がいくらインターネットで「雑草 駆除」など検索しても駆除できないくらいに生息範囲を広げ、繁殖に大成功を収めました👏

勝った人のイラスト(男性)

今ではむしろ雑草は、人間がいなければ生きていけないようになっています。もし人間がいなくなれば、空き地のようにたくさんの植物が好き勝手に育つようになってしまい、何十年と経って山奥と同じ環境になってしまいます。


そうすると雑草のライバルが増えてまた競争に勝てなくなり、絶滅してしまいます。人間にとって雑草は邪魔な存在ですが、雑草は人間の存在を大いに利用しているのです。

🔥 雑草魂を持つ『ど根性大根』

世の中には『ど根性大根』と呼ばれる、素晴らしい大根がいます。2020年、大阪駅近くの歩道橋下アスファルトに堂々と生える大根が見つかり、テレビや新聞で大きな話題となりました。

大阪駅に現れたど根性大根
ど根性大根は、大阪以外にも何件か報告がある
引用元: 共同通信

大根は本来、耕された畑で人間の世話がなければ立派に育ちません。大根にとって、大都市のようなアスファルトで生きることは、人間が北極圏に一人放り出されたようなもの。

北極圏

それでも堂々と立派に育つ大根に人々は敬意を表し、『ど根性大根』と名付けました。


ど根性大根はどうやって大都市に生えてきたのか….。おそらく大根の種が誰かの服や靴の裏にひっつき、それが大阪駅のコンクリートに偶然舞い落ちたのでしょう。奇跡のような出来事です。


大根は畑で耕される野菜であり、本来は雑草ではありません。

大根畑

しかしど根性大根は、皆が集まる学校に行くのが辛い人と同じように、他の大根と同じ畑の生活には馴染めないような、そんな素晴らしい性格を持っていたのかもしれません。


そしてど根性大根は、苦手な学校に行く努力など決してせずに、風に乗って人間の服や靴に種子をひっつけ、大阪駅という未開拓の地で飛び降りることにチャレンジしてみたのでしょう。もし頑張って畑に留まっていたら、環境が合わずに死んでいたに違いありません。


学校に行くのが辛くなったら、雑草や『ど根性大根』を思い出して。自分が苦手なもの(勉強や人間関係など)で競争してはいけません。得意なもので頑張れるような、新しい環境を探すことが大切です。


弱いからこそ、強く生きれる場所に逃げる。それが本当の🔥 雑草魂です!

📚 おすすめ参考文献

📖 参考になった書籍

雑草はなぜそこに生えているのか ──弱さからの戦略 (ちくまプリマー新書)

植物にあまり興味のない私でしたが、身近な雑草の性質や基本戦略を理解することができ、面白くて一気に読んでしまいました。

この著者の植物本はどれも非常に面白いです。

📱 参考になったページ

知識の宝庫!目がテン!ライブラリー

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