【状態変化】物質の状態を決める、分子の振る舞い

状態変化 中1理科

その昔、ギリシャのデモクリトスは「全ての物質は、小さな粒からできている!」と主張し、当時の大哲学者アリストテレスの四元素説に反対しました。

デモクリトス
彼の考えを『原子論』という

それから2000年以上も信じられていなかった『原子論』でしたが、19世紀(1801~)に入るあたり、ラヴォアジエやドルトンが徐々に物質の本性を解き明かした時期から状況が変わります。


そして20世紀(1901~)ごろには、物理学の大スターであるアインシュタインらの功績により原子論の正しさはほぼ証明され、今ではそれを疑う学者はほとんどいません。

原子論に貢献した科学者たち
左からデモクリトス、ラヴォアジエ(とマリー夫人)、ドルトン、アインシュタイン

物質を構成するこの粒子たち、実は物質の状態に大きな大きな影響を与えているのです。


今回は、ロウソクが

  • 固体
  • 液体
  • 気体

と変身する謎に迫りつつ、デモクリトスが存在を予言した “” について詳しく学んでいきます。


物質を構成するその小さな粒が、その物質の性質自体を決めていたのです。

状態変化

多くの物質は、「固体」「液体」「気体」の3つの形態を持っています(物質の三態)。


冷やしたり熱することで、状態は変化します。冷えている状態で固体だった物質は、加熱すると液体になり、もっと加熱すると気体になります。

物質の状態変化

逆に、気体を冷やせば液体となり、最終的には固体になります。


このように、物質が固体になったり液体や気体に変化することを状態変化といいます。

ロウソクの三態

今回は、ロウソクを例にして、状態変化を詳しく考えます。

ロウソク

ロウソクのロウも、

  • 固体
  • 液体
  • 気体

と変化する代表的な物質です。

状態変化するロウ

ロウソクは、熱によって「固体→液体→気体」の順番に状態変化し、ロウの気体が燃えることで火を灯す仕組みです。

ロウソクの状態変化

ロウが固体や液体になるこのとき、何が起こっているのでしょうか?

三態それぞれの分子の状態

「全ての物質は、粒からできている」というデモクリトスの主張は、今では現代科学の常識となっています。


デモクリトスが言った粒のことを、「分子(ぶんし)」と呼ぶことがあります。


従って、これからは物質を作る粒のことを分子と呼びます。

固体のときの分子

例えば、ロウに限らず固体の物質を細かく詳しく解析すると、物質の分子が規則正しくギッシリと詰まった構造をしています。

固体の分子構造

分子同士がお互いに強く引き寄せあっていて、分子同士は簡単には離れません。だからこそ、形の変わらない固体でいられるのです。

身の回りの固体
木、鉄、草などは固体

ちなみにこの「分子」、一つの大きさは半径が約1億分の1cmです。当然ですが、極めて小さい。

液体のときの分子

次に、例えば熱せられて液体となったロウでは、熱により分子同士の繋がりが弱まってしまい、粒子が自由に移動するようになります。

液体の分子構造

液体が決まった形を持たないのは、液体の粒子が自由に移動するからです。

身の回りの液体

気体のときの分子

さらに熱して気体にまでなってしまえば、熱により分子は自由に激しく動き回り、分子同士の繋がりはほぼ無くなってしまいます。

気体の分子構造
気体の分子は猛スピードで動き回る

分子はバラバラに離れてしまい、分子たちは空中に飛び出し、猛スピードで動き回ります。だから目に見えないわけですね。

身の回りの気体の分子構造

状態変化と分子の状態

物質の状態変化

状態変化は、物質の見た目が変わってしまう不思議な現象ですが、「全ての物質は粒(分子)からできている」ことを意識すれば、少し理解しやすくなったはず。

熱と分子と状態変化
熱するほど、分子はエネルギーを得て動き回る

熱によって変化する粒(分子)の動きが、物質の状態を決めていたのです。

状態変化の名前

物質を構成する分子の様子が変わることで、固体や液体、気体へ姿が変わります。

物質の状態変化

この変化それぞれには、名前があります。

固体 <-> 液体

加熱により、固体が液体になることを融解(ゆうかい)といいます。


ロウも、熱することで固体のロウが液体に変わります。これが融解。

ロウの融解
融解するロウ

逆に冷却により、液体が固体になることを凝固(ぎょうこ)とよびます。

水を冷凍庫に入れたり、ロウが一度融解して液体になった後に冷やされれば再び固体になります。

ロウの凝固

水(液体)が寒さのあまり、氷(固体)になるとつららができます。これも凝固ですね。

凝固の例、つらら

つららは、

  1. 雪が水になる(融解)
  2. 水が氷になる(凝固)

の2つの現象がワンセットになる素敵な現象です。

凝固と融解
液体→固体(融解)、固体→液体(凝固)

液体 <-> 気体

液体が気体になることを蒸発といいます。


ロウソクは、熱により蒸発したロウが燃えることで火がつく仕組みです。

蒸発するロウ
蒸発するロウ

例えばお湯が沸騰して水蒸気になることも、蒸発のうちに入ります。

沸騰は蒸発の一種
沸騰も、蒸発の一つ

逆に、気体が冷えて液体になることを凝結(ぎょうけつ)と言います。

凝縮(ぎょうしゅく)とも言います。

冷たいコップの周りにひっつく水滴、あれは空気中の水蒸気がコップで冷やされて液体となったからです。凝結の身近な例ですね。

水滴がついたコップ
空気中の水蒸気がコップに冷やされ、水に変化
状態変化

蒸発と沸騰の違い

☕蒸発と沸騰、何が違う?(クリックで詳細)

蒸発では、液体の表面から一部の活発な分子が空気中に飛び出し、気体と変わっています。

蒸発のモデル図

一方、お湯を沸かしたときも、グツグツと水蒸気がたくさん発生します。こちらも蒸発ですが、特に沸騰と言うことが多いです。

沸騰

お湯全体から泡が出ている様子から分かるように、液体内部からも気体に変わる現象が沸騰です。

沸騰のモデル図

もちろん、沸騰するときは表面でも気体に変わっているので、沸騰はあくまでも蒸発の一部だといえます。

気体 <-> 固体

固体は、普通は液体になり、それから気体になります。

物質の状態変化

しかし、固体から一気に気体になってしまう物質もあります。


それはドライアイスです。

昇華するドライアイス
二酸化炭素の固体(ドライアイス)は液体にはならない。

ドライアイスは、二酸化炭素が冷えて固まったもの。しかし、ドライアイスは液体にならず、すぐに気体となって空気中に逃げていきます。

ドライアイスは約マイナス79℃の超低温の物質です。したがって、触ると皮膚がただれる危険がありますし、その他危険なこともたくさんあります。


取り扱いには十分に注意しましょう。油断して大量に使うと死ぬこともあります。

参考1: ドライアイスによる手などの凍傷や酸欠に注意!

参考2: プールにドライアイス30キロ投入、有名ロシア人女性の誕生日会で3人死亡

こういった珍しい現象を、昇華(しょうか)といいます。


昇華の逆、つまり気体からいきなり固体になる現象は、凝華(ぎょうか)といいます。

状態変化の図
「凝結」は「凝縮」ともよぶ

☕教科書は、間違いを70年も放置した? (クリックで詳細)

教科書やネット記事の多くは、ドライアイスのような

  • 固体→気体

の変化だけでなく、反対方向の

  • 気体→固体

の変化も、凝華ではなく昇華と呼んでいるようです。

昇華と凝華の教科書論争

ただ、この解釈はどうやら「1953年の理化学辞典での定義を、1955年に広辞苑が誤用して広がってしまった」説があるようです。つまり間違い。

参考1:『気体から固体への状態変化を何とよぶか?』
参考2: 『「昇華」の逆 は 「凝華」』
参考3: 『凝華 wikipedia』

実際に、2017年から凝華の用語を採用する高校化学の教科書も現れたようなので、

  • 固体→気体…昇華
  • 気体→固体…凝華

と考えるのがより正確で、「凝」と「昇」の漢字の意味も馴染むと思われます。

全体の性質は、細かな分子の構造により決まる!

今回で学び取ってほしいことは、「全体の性質は、細かい分子の構造で決まる!」ということです。


同じロウでも、固体液体気体、全く違う姿をしています。しかし、同じロウ。


氷と水と水蒸気、全く違っても同じ水。


これは全て、それを構成している分子の振る舞いによって決まっていたのです。


こんな細部を解き明かした科学者たちのお陰で、現代科学の発展があります。

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