【全反射】ガラスも水も、鏡になる

全反射 中1理科

👇の写真をみてください。

水中から撮影した写真です。スイスイ泳いでいる魚が2匹見えませんか?


しかし…実際にいる魚は1匹だけです。上の方の魚は、水面に映った魚の像です。よく見ると、上の魚は逆さまになってますよね?


水面がまるで鏡のように、くっきりと魚の象が映っています。

🌟 もう屈折できない!全反射

光の反射と屈折をマスターするため、水面が光になってしまう物理現象、全反射を学びます。


まずは、入射角と屈折角の関係を詳しく。

入射角が大きくなれば屈折角も大きくなる

水中やガラス中から、空気中へ光が出ていく場合を考えます。斜めから入れば、当然水面で屈折します。

光の屈折

ではここで、徐々に入射角が広い光を考えてみましょう。

入射角を広げてみる

入射角が大きい光は、屈折角も大きくなっていることが分かるはずです👇

入射角が大きくなると屈折角も大きくなる

屈折の限界

さて、この調子で入射角の大きい光を調べると……、屈折角の限界が来ます。屈折角が90°になってしまうのです。

屈折角が90°に

👆を見れば分かるように、屈折光は平行に走っています。


ここからさらに入射角を大きくすると、もはや光は屈折できません


屈折できず、もはや反射だけになってしまいます。

全て反射してしまう現象

光を強く反射する、全反射

入射角が大きすぎて、もはや屈折できなくなってしまう。その結果、「光が境界面で全て反射」してしまった。


こんな現象を、全反射といいます。屈折しないため、光のパワーが全て反射する現象です。

全反射
全反射gif
全反射のときは、屈折光がない

全反射は、光を境界面で全て反射させます。したがって、

  • 全反射していないときの反射光
  • 全反射したときの反射光

の2つを比べると、全反射の方が強い光です。全反射していない場合は、屈折により光が逃げるからです。

全反射の強い反射光

全ての光が跳ね返る全反射は、まさに鏡と同じ状態。

全反射はあくまでも、

  • 水中から空気中へ
  • ガラス中から空気中へ

など、進みにくい物質から進みやすい物質にぶつかるときだけです。

  • 空気中から水中へ
  • 空気中からガラス中へ

などの場合は、全反射は起こりません。注意。

🐟 全反射が、水面を鏡にする

屈折させず、全ての光を反射させる全反射は、つまり鏡と同じ力を発揮します。

水面にハッキリ映る、逆さまの魚

もう一度、👇の写真を見てみましょう。

上側の魚は、水面に映っている魚の象。


こんなにもハッキリ映っているは、全反射により、水面が鏡のように強く光を反射しているからです。

全反射で映る魚
鏡面反射の回を復習しよう。もちろん、虚像。

水面が鏡のように強く光を反射するため、魚がハッキリと映るのです。


全反射しない角度から見ると、反射光が弱いので薄い魚が映ります。これでは、鏡のようにハッキリとは見えません。

薄くしか映らない魚
全反射ではないとき

水中で全反射が起こる角度にいれば、水面が鏡のように見えるでしょう。

Anna
https://www.flickr.com/photos/54452028@N00/2484633022

泳いでいる人が、水面に鏡のようにバッチリ映ってますね。こんなにハッキリ映るのは、反射光が強い全反射のおかげ。

水面に全反射する植物
水槽内の草が、水面にハッキリ映っている

見えない水中の魚

空気中から水中を覗き込むとき、全反射のおかげで、角度によっては水中の魚が見えない場合があります。

全反射により見えない魚

全反射すると、魚からの光は空気中に出ていきません。よって水中が透き通ってよく見えたとしても、②からは魚が見えません。

全反射により見えない魚

🔶 ガラスの方が全反射しやすい

【光の屈折】光も泳ぐと遅くなる!光が曲がる理由』では、光が速く走れる媒体を比較しました。


光は、水よりガラスを通る方がスピードが遅くなります。

光の速さ進む場所速さ(およそ)
👩‍🚀 真空(宇宙)30万km/s
🏃‍♀️ 空気中30万km/s (真空よりは遅い)
🏊‍♀️ 水中22.5万km/s
⚪️ ガラス中20.5万km/s

水よりガラスの方が物質がギッシリ詰まっているので、スピードは遅くなります。

物質ごとの光の速さの違い
進む場所別、光の速さ比較

ガラスの方が屈折率が大きい

光は、違う物質を進むとき、

  • 反射
  • 屈折

の2つの現象を起こします。

入射角と屈折角

光が屈折する原因は、違う場所を進むときに光のスピードが変わるからでした。


例えば空気中から水に入射するときは、車の片方の車輪だけ、沼地に入ってしまうのと同じ理屈です。

光が屈折する理由

この理屈で考えると、「光のスピードが遅くなってしまうものほど大きく屈折してしまう」ことになります。深い沼地の方が、車の車輪は足を取られてしまうからです。


たとえば、

  • 水 (光は秒速22.5万kmになる)
  • ガラス (光は秒速20.5万kmになる)

を比べてみましょう。


光にとっては水よりガラスのほうが進みにくいので、ガラスにぶつかったときの方が大きく屈折します。ガラスの方が、深い沼地なのです。

水とガラスの屈折比較
ガラスの方が屈折角が小さくなる。

水とガラスの全反射比較

光が空気中へ出るときの、水とガラスの屈折の差を比べてみます。

水とガラスの屈折率の違い

これは、「ガラスは水よりも、全反射しやすい」ことを意味します。👆の図を見てください。ガラスの方は、水に比べて早く屈折の限界が来ますよね。

ガラスと水の全反射の角度

ガラスは水よりも全反射しやすいため、双眼鏡などの器具では、全反射するプリズムを鏡の代わりに使っています。

鏡になっている全反射プリズム
鏡になっているプリズム(ガラス)
App5c Zoran
全反射プリズム

📚 おすすめ参考文献

▶️ 参考になったビデオ

1分間の科学実験「消える人形 光の全反射」

水槽の後ろに置いたキューピーが、上から角度をつけて覗くと見えなくなってしまいました。


もう、なぜキューピーが消えたのか分かりますね?

消えたキューピー

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